岡部えつ「嘘を愛する女」あらすじ・感想!一緒に暮らした時間さえも嘘なのか?

小説

長澤まさみさんと高橋一生さんが共演した現在公開中の映画「嘘を愛する女」の小説版を読んでみました。
この作品は一応フィクションとなっていますが、ニュースに取り上げられたこともある実話を題材にして作られたそうです。

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あらすじ

川原由加利(かわはら・ゆかり)には5年もの間、一緒に暮らしてきた37歳の小出桔平(こいで・きっぺい)という恋人がいました。

30歳が目前に迫った由加利は、2人の将来のことを考えますが、桔平はというと結婚には消極的でした。
由加利は一流企業に勤めているキャリアウーマンです。
同僚の綾子(あやこ)から「原因は収入格差じゃない?」と指摘されます。

確かに研究医として神奈川の大学病院に勤めている桔平は収入が由加利より高くありません。
それでも桔平は負い目を抱くような性格ではなく、むしろ由加利の昇進もすごく喜んでくれる、そんな人でした。

そんな中、由加利の母が、福岡から親戚の結婚式に参加するため東京に来ていました。
母が桔平に会いたいと言うので、3人は金曜の午後7時に青山のレストランで待ち合わせをします。

しかし約束の時間が来ても彼は現れません。仕事が長引いている可能性もありますが、何度もメールを送っても返信がありません。
結局、約束をすっぽかされてしまいました。仕方なく母をホテルまで送ったあと、由加利も家に帰りました。

桔平は合わせる顔がないのか、明け方になっても帰って来ません。
そんな彼に失望した由加利は別れることまで考えます。

意を決して桔平の携帯電話にかけると、出たのは都内にある病院の関係者でした。
桔平が午後6時半頃、新宿駅近くの路上でくも膜下出血を起こし、運び込まれていたことを由加利は、この電話で知ることになります。

何かの間違いだと信じたい由加利は、急いで病院に駆けつけますが、そこで見たのはベッドに横たわる昏睡状態の桔平でした。
由加利は、あまりのショックに虚脱状態になってしまいます。

一度部屋から退室した由加利は、全身の力が抜けた状態でベンチに座っていました。
すると由加利のもとに警察官がやってきます。
桔平の所持品から身元を調べるために病院から連絡を受けていたということでした。

そこでも由加利は信じられないことを聞かされます。
警察が桔平の職員証から彼の勤める病院に問い合わせると、小出桔平という職員は在籍していなかったのです。

なぜ桔平は職員証を偽造していたのか?
由加利は桔平に対し不信感を抱くようになっていきます。

その日の午後に手術は成功しますが、2週間経っても俊平の意識は回復しません。

桔平との出会いは、6年前の2011年の3月11日。
東日本大震災が起きた日でした。

思い返せば、あの時から何か不自然な桔平の言動。
彼には家族はなく、友達も作らない。自分が映っている写真もない。さらに、身分を証明する物も何1つ持っていませんでした。

由加利は桔平の財布の中から小さな鍵を見つけますが、どこの鍵であるかわかりません。
どうしても桔平の過去を知りたい由加利は、海原という探偵に桔平の身元調査を依頼することにしました。

数日後、海原は桔平の持っていた鍵は、桔平が月極で借りていたトランクルームの鍵だったことを突き止めます。
連絡を受けた由加利は海原とトランクルームに向かいます。

鍵で扉を開け、由加利が見たものは、紙袋から出てきた数10枚の1万円札と1台のノートパソコン。

ですがパソコンにパスコードがかかっていて開くことができません。

そこで、海原の事務所に行き、スタッフにパスコードを調べさせます。
その間も、紙袋の中から桔平の偽の健康保険証が出てくると「私を騙すために」と由加利は苛立ちを募らせていました。
するとスタッフから「パソコンを開くことに成功した」という声が。

画面には小説のような文章が長々と映し出されていました。
舞台は瀬戸内にあるどこかの島。
登場人物には雄太、佑子と僕の3人の家族。

原稿を読むかぎり「僕」が、桔平自身であることは間違いないようでした。
桔平には妻子がいたことを知った由加利。
それでも原稿を読み進め、桔平の故郷は広島県にある瀬戸内の島ということを見つけ出しました。

それと手掛かりは桔平の携帯電話に入っていた美しい海と夕陽に浮かび上がる灯台のシルエット画像。
それは以前、桔平に見せてもらった唯一の昔の写真でした。
原稿に出てくる風景とこの写真は似ています。

おそらく瀬戸内のどこかにこの灯台があるのではないかと推測した由加利は、本当の桔平を知るために、広島へと向かいます。

感想

なぜあの日、桔平は新宿にいたのか?どうして嘘をついていたのか?
悲しい過去を人知れず抱えてきた桔平。
その桔平の本当の気持ちが明かされていく終盤は感泣ものです。
ページ数は少なめでサクサク進めて、普段小説を読まない人でも読みやすい内容だったと思います。

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