東野圭吾「素敵な日本人」短編集のあらすじ・感想

小説

東野圭吾さんの短編小説「素敵な日本人」を紹介します。

各作品に繋がりはないのですが、1話1話完成度が高く、読み応えのある短編集でした。
9編の中から特に気に入った、壊れた時計、サファイアの奇跡、水晶の数珠の3編のあらすじを紹介します。

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あらすじ

 

壊れた時計

闇サイトで知り合ったAから2年ぶりに仕事の連絡が来ます。
金に困っていた主人公の男は、怪しい仕事を引き受けてしまいます。

依頼の内容は2つ。

ひとつは、あるマンションの一室から彫像を盗って来るというもの。
もうひとつは、依頼主のアリバイ作りのため、犯行日時を特定できるものを残すこと。

しかし犯行時に部屋の住人が帰ってきてしまいます。
主人公は住人にタックルを仕掛け、倒した勢いで殺してしまいます。

主人公はAに電話で指令を仰ぎます。
Aは被害者の死体があれば、犯行時刻は特定できるので「なにもしなくていい」「余計な小細工はしないほうがいい」と指示をします。

電話を切り、部屋を出ようとした主人公は、被害者が付けている腕時計にヒビが入り、針が殺害時刻で止まっていることに気づきます。

時計が壊れ、針が止まっているという不自然さに、警察が犯行時刻を偽装するトリックだと疑うのではないかと悩みます。
壊れた時計をどうするか、悩んだあげくとった行動が、主人公の運命を左右します。

サファイアの奇跡

母子家庭で育った小学5年生の未玖(みく)は、仕事で疲れている母を気遣い、お金のかかる遊びはしません。
他の子供たちといると羨ましくなるので、放課後は、ひとりでいるような女の子でした。

ある日、学校の帰り道に神社で一匹の茶色の野良猫と出会います。
未玖は猫をイナリと名付け、首輪も付けてあげます。

イナリといると未玖の心は安らぎました。
イナリも未玖になつき、膝の上に乗ってきたりして、ふたりはすっかり仲良くなります。

ところが、いつものように神社に行くとイナリがいません。どこへ行ったのか、突然会えなくなってしまいました。

それから2週間ほどが経った頃。

学校からの帰り道、ガードレールに括り付けられているイナリの首輪を見つけます。
その下には花が供えてありました。

未玖は花を置いたトラックの運転手を見つけ、事情を訊きます。
運転手は跳ねた猫を近くの動物病院に運んだが、もう助かりそうもないことを未玖に話しました。

未玖は運転手と病院に行きます。
運転手が受付で話している間、待合室で未玖はイナリの気配を感じます。
立ち入り禁止の張り紙がしてあるドアを開けると、奥にあるゲージの中を見て目を見張りました。

すると白衣を着た男性が未玖を捕まえ、そこで見たことを口止めされます。
待合室に戻ると、運転手からやはりイナリは助からなかったことを聞かされました。

高校を卒業し、トリマーになった未玖は病院で、鮮やかな青い毛の色をした猫と出会います。
その珍しい毛の色をした猫はどんな人にもなつきません。
飼い主でも触ろうとすれば、威嚇されたり噛みつかれもします。
美玖はその猫にイナリの面影を感じ、抱かせてもらいました。
猫はおとなしく暴れようとしません。
飼い主も驚きます。
はたしてその猫は本当にイナリだったのでしょうか?

水晶の数珠

主人公の直樹は地元の名家、度会家(わたらいけ)の一人息子です。

直樹はハリウッド映画に出る夢に挑戦するため、父が会長を務める会社をわずか1年で辞めてしまいます。
そのことを知った父は怒り、息子を勘当します。

直樹がアメリカに渡って数年が経った頃、姉から連絡がきます。
その電話で父が、病で余命幾ばくもないことを知らされ、今度の父の誕生日に帰って来てくれと頼まれます。
近々大事なオーディションを控えていたが、どうにか間に合うだろうと帰国します。

空港から実家に向かう途中で父から直樹に電話が掛かってきます。
直樹は父から「夢を諦め、のこのこ帰ってきたと思った。
お前みたいな者が受かるわけがない」などの挑発に乗り、父に合わずにアメリカに戻ってしまいます。

3週間後、父の葬式のために再び帰国します。
母と姉から父の誕生日にどうして帰ってこなかったか訊かれ、父との電話でのやりとりを説明します。
すると母と姉は、直樹が帰ってくることはサプライズにしていて、父にはもちろん誰も知らないはずだと言います。
渡米後の直樹の電話番号も知っているのは姉だけで父は知らないはずだと。

どのようにして父は直樹が帰ってくることを知り、携帯番号を知り、あれだけの挑発をしたのか?
しかし謎はそれだけではありません。
もし父の挑発で、直樹がすぐアメリカに戻っていなければ、翌日の新幹線の遅れで帰れなくなりオーディションを受けることができなくなっていたのです。

父が亡くなったことで直樹は、度会家で代々受け継がれてきた、不思議な力を持つといわれる水晶の数珠を受け継ぐことになりました。
一連の謎はそのことと関係があるのでしょうか?

ラスト3ページには驚かされ、感動の結末が待っています。

感想

一番気に入ったのは「サファイアの奇跡」でした。猫より犬が好きな自分ですが、未玖とイナリの繋がりには心が和みました。
「壊れた時計」では、犯人の謎に満ちた行動に警察官が好奇心をそそられるところがよかったです。
短編集の最後を飾った、「水晶の数珠」では、素敵な日本人が見事に感動で締めくくってくれました。
紹介したのは3編ですが、温かい話から、殺人事件までバラエティに富んだ内容の9編の短編集でした。

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