東野圭吾「流星の絆」あらすじ・感想!逆境を乗り越える3人の絆

小説
言わずと知れた人気作家・東野圭吾さん。
これまで数々の作品が映像化されていますが、2008年03月に単行本化された「流星の絆」も同年10月からTBS系でテレビドラマ化され話題となりました。
今回は原作「流星の絆」をネタバレ無しで紹介します。

 

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あらすじ

時刻は夜の12時頃。
横須賀に住む小学6年生の有明功一(ありあけ・こういち)と小学4年生の弟、泰輔(たいすけ)は、親の目を盗んで2階の窓から抜け出します。
言い出したら聞かない小学1年生の妹、静奈(しずな)も連れて流星を見に行きますが、あいにく天候には恵まれませんでした。

雨も降り始め、仕方なく帰ることにします。
洋食屋を営んでいる自宅に着くと、見知らぬ男が裏口から走り去っていくところを泰輔が目撃します。

眠ってしまった静奈を背負い、息を殺して表から入る功一。
そこで見たものは殺されていた両親の姿でした。

連絡を受けた横須賀署の萩村(はぎむら)刑事が、洋食屋「アリアケ」に駆けつけると、先に到着していたのは、先輩刑事の柏原(かしわばら)でした。
2人の刑事はこの店の常連客ということもあり、不審人物を見たという話は、子供たちと面識のある柏原が訊くことになりました。

こうして進む捜査の中、有明夫妻を殺害した凶器は厨房にあった洋包丁ということがわかりますが、指紋は残されていませんでした。
さらに現場からは家族の物ではないビニール傘が発見されますが、こちらも指紋が拭き取られていました。

その後、詳細不明の借金を抱えていた夫妻が、事件直前に約200万円を引き出していたことが判明します。
ところが、そのお金の行方がわからず、犯人が持ち去った可能性も視野に入れて捜査を進めますが、有力な情報がつかめません。

そんな中、捜査員たちが有明夫妻の過去を探っていくと、母親が静奈を連れて功一と泰輔の父親と一緒になったため、静奈が兄達と血の繋がりがないことがわかります。

それでも深く強く心が結びついている3人の兄妹。
両親の死を知らされ泣きはらした静奈が、父さんと母さんの仇を取ると言い、犯人がわかったら3人で殺そう、と誓い合います。

児童養護施設に行くことが決まった子供たちは、母親の口紅とコンパクト、父親の金色の腕時計や料理のレシピを書いたノート等を形見に持って行くことにしました。

そして、施設で迎えたある日の夜。

高校3年生になっていた功一は、来年の春に施設を出なければいけません。
その前に、もう一回あそこに戻りやり直そう、と3人で施設を抜け出し流星の見える場所に向かいます。
あの悪夢の夜と違い、流星は雨のように降り注いでいました。
あまりの美しさに声をあげる静奈と涙を流す泰輔。功一は言いました。
「俺たち3人は繋がってる。いつだって絆で結ばれてる。だから、何も怖がるな」

そして、事件から14年という月日が流れ、すっかり大人になった3人の兄妹達。

3年前には児童養護施設を出たばかりの静奈、さらに功一までが他人を信用し、金銭的な被害に遭ったことがありました。
それからは人に騙されるのではなく騙す側になろうと決め、詐欺犯罪に手を染めるようになっていました。

役割分担は功一が作戦の立案と調査、泰輔と静奈が実行役でした。
この日も一人の男を騙したあと、戸神行成(とがみ・ゆきなり)のいるワインパーティに向かいます。
行成はレストランチェーン「とがみ亭」の御曹司で28歳。
目的は、宝石商に化けた泰輔が偽物のダイヤを行成に買わせ、静奈にプレゼントさせること。

まずは高峰佐緒里(たかみね・さおり)という偽名を使った静奈がパーティに潜り込み、ターゲットとなる行成に近付くことに成功。
近いうちに「とがみ亭」へ行き、そこでお店の感想を述べる約束を交わします。

ただし、これまで幾度も成功を収めてきた3人も、弟妹の将来を心配した功一が、これを最後に詐欺行為から足を洗うと言います。
2人もそれに同意し、行成が最後のターゲットとなりました。

後日、「とがみ亭」広尾店で行成と再会を果たした静奈。
お店の感想を言った後、近々新しくオープンする麻布十番店の話に移っていきました。

行成によると「とがみ亭」はハヤシライスが話題を呼び人気店へと上り詰めますが、今では店舗によって個性が違うことが特徴になり、本家のレシピは誰にも教えられていないとのこと。
それでも社長である父を説得して、レシピを教わり、新しい店では「とがみ亭」の元祖ハヤシライスを目玉メニューにすることが決定したと行成は言います。

今度開くハヤシライスの試食会に招待された静奈は、帰り際に行成の父、戸神政行(とがみ・まさゆき)と初対面の挨拶を交わして店を後にしました。
泰輔の車に乗り込み、今夜の首尾について報告をしていると、先ほどの戸神親子も店から出てきました。
すると泰輔が、政行を見たとたん、険しい表情になり「父さんと母さんが殺された夜、家の裏口から出ていった男・・・今の男が、あの時の男だ」と、呟きました。

泰輔の話に功一は、驚きが隠せません。
洋食屋をしていた功一たちの両親と同じ洋食の店を経営している政行が、仕事の関係で繋がっていた可能性もありましたが、まずは政行が本当にその男なのか、確かめなければいけません。
そこで功一は、今も横須賀署で刑事をしている柏原に連絡を入れ、4年ぶりに再会します。

実は摘発されたノミ屋グループの顧客リストに父親の名前が載っていたと、功一は4年前に柏原から呼び出されていました。
ギャンブル狂だった父親に300万円の借金があったことをその時に知ります。
今回は柏原に、泰輔が目撃した不審人物の似顔絵に、似ていた人物のリストを見せてほしいと頼んでみますが、柏原もリストを民間人に見せるわけにはいきません。

一方、行成に招かれていたハヤシライスの試食会に出向いた静奈。
政行のことについて探りを入れようとしますが、運ばれてきたハヤシライスを口にすると、我慢しきれずに涙をこぼしてしまいました。

このあと、マンションに戻った静奈。
計画を台無しにしてしまったことを兄たちに詫びたあと、「とがみ亭」で食べたハヤシライスが父さんが作ってくれた「アリアケ」のハヤシライスと同じ味だったことを伝えます。

信じられないといった功一。

父が隠し味の醤油として仕入れていた名古屋の老舗を訪ねます。
そして「アリアケ」で強盗殺人事件が起きた14年前に「とがみ亭」が初めてこの醤油を仕入れた、という情報も手に入れます。
さらにこの醤油を使い「アリアケ」の味を再現したハヤシライスを静奈に食べさせると、やはり「とがみ亭」で食べたものと、同じ味だと言います。
これで、あの夜に泰輔が目撃した男が戸神政行だった信憑性も高くなり、3人はターゲットを行成から父親の政行に変更します。

政行が「アリアケ」の味を盗み、両親を殺した犯人なのか?
14年前に政行がどんなことをしていたかを調べ「アリアケ」との繋がりを突き止めるには、静奈にかかっていました。

静奈は、先日ハヤシライスの試食会で泣いて帰ってしまったお詫びを口実にして行成と再会し、レストランで食事をします。
その時に訊きだせたことは、開業当時は閑古鳥の鳴く日が続いていた「とがみ亭」もハヤシライスのセットを増やしたとたん、瞬く間に人気店になったということ。
ただし、あのハヤシライスが、いつどんなふうに作られるようになったかまでは、行成にもわかっておらず、それ以上の情報を得ることは出来ませんでした。

行成は食事を終え静奈と別れた後、彼女のことが頭から離れません。
言葉が見つからず、デートに誘えなかったことを後悔していたからです。
そんな気持ちを抱えながら帰宅した行成。

今夜の会話のなかで、子供の頃に友達の洋食屋で「とがみ亭」と同じ味のハヤシライスを食べたことがある、と静奈から聞いていました。
父の政行にその話を伝えると、彼は険しい目つきになり、その店の名前、店のあった場所などを気にし始めると、そのあとも質問を繰り返してきました。

明らかに様子が変わりだした政行。
これまで「とがみ亭」は新しい店を出す時には、元祖の味には頼らず、オリジナルのハヤシライスを作ってきましたが、今度の新店舗では「とがみ亭」の元祖ハヤシライスの味を蘇らせる予定でした。

ところが、新たなハヤシライスを作るように、政行が急きょ方針の変更を命じてきました。

なぜ、静奈が同じ味のハヤシライスを食べたことがあると知った直後に、元祖の味の復活を止めたのか。

事件から14年。
もうすぐ時効が迫るなか、ついに3人は父と戸神政行の繋がりを掴みますが、中途半端な証拠では警察は動いてくれそうもありません。
そこで、証拠を見つけるのではなく、証拠を作る計画を企てます。
この計画がうまくいけば、戸神政行が逮捕されることになり、息子の行成も無傷では済まされません。

その仕掛けをするのが、行成に近付くことのできる静奈でしたが、この頃になると、行成のことを本気で好きになっていました。

そんな静奈は心の葛藤を抑えつけ自分に言い聞かせます。
いつか3人で両親の仇を討とうと話し合ってきた。兄たちの信頼を裏切ることなどできない。

彼はあたしたちの両親を殺した男の息子なんだ —————。

感想

ラスト、犯人の正体に残念でもあり驚きもしましたが、血の繋がりのない妹を守ろうとする2の兄達の姿に読後感は温かかったです。
そんな子供たちの絆も素晴らしいですが、戸神行成の人柄の良さがにじみ出ていて、ミステリを楽しむより静奈との恋の行方が気になる作品でもありました。

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