宿野かほる「ルビンの壺が割れた」覆面作家の鮮烈なデビュー作!あらすじ・感想

小説

今回は、2017年08月に発売された「ルビンの壺が割れた」を紹介します。
前回のブログで紹介した「はるか」の作者でもある宿野かほるさんのデビュー作です。

発売前には、2週間限りとはいえネットで無料公開しました。
さらに、宿野かほるさんは覆面作家でもあり経歴は全て不明ということもあって、話題性抜群です。

ページ数はわずか156ページという短い小説ですので、ネタバレに気をつけてあらすじを書いてみました。

 

 

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あらすじ

結城未帆子(ゆうき・みほこ)のフェイスブックに昔の知り合いからメッセージが届きました。

送り主は、水谷一馬(みずたに・かずま)。
一馬はフェイスブックで、興味のあった歌舞伎のページをいくつか検索していたとき、未帆子という名前を偶然見つけました。

名字は違えど、昔の知人に美帆子という人物がいた一馬。
プロフィールページを見ても個人を特定できることは何も書かれていません。
一馬は、近年写したものとみられる未帆子らしき人物の写真を見つけ、それをパソコンに取り込み、引き伸ばして本人かどうか確認しました。

何しろ一馬の知る未帆子は28年前に死んでいたはずで、しっかり確かめる必要がありました。

それゆえ写真の人物が未帆子と確信したときは、驚きの声をあげましたが、この小さな謎は約1年後、一馬が未帆子へ送る2通目のメッセージであっけなく明かされます。

それからさらに1年の月日が流れ、一馬から未帆子のもとに送られてきた3通目のメッセージでは、最近病院でがんが見つかったが早期発見なので大事には至らないと書かれたあと、昔の2人の関係へと移っていきました。

29年前、一馬と未帆子は結婚することが決まっていましたが、結婚式の当日、未帆子は姿を現さずそのまま失踪。
その時から、自分の人生はおかしくなったと、一馬のメッセージには綴られていました。

すると、それを読んだ未帆子が、はじめて一馬に返信を送ります。

そこには、一馬の病気のことを心配していること、大学時代に演劇部の先輩だった一馬を恋に近い憧憬の眼差しで見ていたことが記されていました。

最後には、結城という名前は偽名で、今の名前は申し上げる気がないことも付け加えていました。

この未帆子の返信を機に、2人は思い出話しを中心に幾度なくメッセージの交換を続けるようになります。
時には、一馬が未帆子の現在の住所を訊きだそうとしてくる時もありましたが、そこはサラリとかわし、学生時代にお互いの知らなかったこと、隠していたことを打ち明け合いました。

ところが、2人のメッセージは、返信を重ねるごとに穏やかでない話が綴られていくようになります。

いったい2人の大学時代に何があったのか。

なぜ未帆子は結婚式の当日に式場に来なかったのか。

一馬がメッセージを送って来た本当の狙いは。

2人が互いに隠し合っていた秘密が次第に見えてきて、2年半に及んだ2人のやり取りは、ラスト一文の強烈なメッセージで締めくくられます。

感想

この作品は、フェイスブックのメッセージだけで構成されていますので、電子メール版の書簡体小説といったところでしょうか。

それにしても、ゾッとする内容の小説でした。
創作の部分も、もちろんあるのでしょうが、実話が基になっているというのも薄気味悪さに拍車をかけていますね。

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