伊坂幸太郎「ホワイトラビット」あらすじ・感想!泥棒黒澤が挑む驚きの逆転劇

小説

警察に完全に包囲された絶望的な状況で相手を言葉巧みに欺き、驚きの逆転劇を見せる
伊坂幸太郎さんの「ホワイトラビット」。
2018年度版の「このミステリーがすごい!」国内編で第2位に選ばれています。
他にも出版界における有名ミステリーランキング上位にランクインされた注目の一冊です。

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あらすじ

この物語の主軸となる 「人質立てこもり事件」は、誘拐をビジネスにしている組織が大切な資金を折尾豊というコンサルタントの男に搾取されたことが、要因となって起こります。

この折尾はやたらとオリオン座の知識をひけらかす男で、オリオオリオというあだ名で呼ばれていました。

金を奪われた組織は明日までに取引相手に送金しなければならず焦りを感じていました。
そこで、折尾が仙台に潜伏している情報を掴んだ組織の創業者である稲葉は、末端の構成員の兎田孝則(うさぎた・たかのり)に東京から仙台行きを命じます。

稲葉は兎田に全力を出して折尾を探させるために、彼の妻である綿子を誘拐し、人質に取ります。無事に綿子を返して欲しくば折尾を必ず捕まえてくるようにと。

二年前に組織の一員となった兎田の役割は、指定された人間を誘拐して次の担当者に引き渡すこと。

日ごろから女性でも容赦なく襲い、人さらいを続けてきた報いが自分に降りかかることになりました。

一方、折尾が潜んでいるとされる仙台市では伊坂作品でおなじみの黒澤という泥棒が登場します。高級住宅街にある家で盗みを働いているところ、仲間の今村がヘマをやらかしたことにより事件に巻き込まれることに。

一見、兎田とは関係のない黒澤の物語ですが次第に繋がっていき、兎田の妻の綿子奪還に向けて一肌脱ぐことになっていきます。

ここで場面は切り替わり、黒澤たちが盗みに入った家とは別の家から、宮城県警に一本の通報が入ります。内容は拳銃を手にした男が押し入って来たというもの。人質の数はその家に住む父親と母親と一人息子の3人。

宮城県警は嘘の通報ではないと判断し、特殊捜査班SITを現場に向かわせました。現場で指揮を執るのはSITの夏之目課長です。
課長は数年前に今回と同じ「人質立てこもり事件」で活躍した経験を持ち、部下からの信頼も厚い警察官ですが、この課長には許されない隠し事があり、その秘密が後半に明かされていきます。

一方、犯人が立てこもったその家の家族もなにか普通ではないようです。ライフルなどのアーミーグッズを収集する趣味を持つ父。その父から暴言や暴力を受けてきた母と息子。この母子からも何かを隠している様子が窺えます。

この「人質立てこもり事件」に黒澤はどのような形で絡んでくるのか、いかなる方法で、兎田の妻の奪還を試みるのか。それには折尾の居場所も気になるところですが。

感想

登場人物たちに幾度なく不審な様子を感じましたが、早い段階から少しずつ明らかにされていき、その度に驚かされました。

作中、過去と現在が行ったり来たりと時系列が変化しますが、同時に場面転換してその登場人物から見た視点に切り替わります。視点が変わったことがきちんと伝わってくるので読みにくかったことはなかったです。

それと作品の至るところで言及される「レ・ミゼラブル」。
その語り口を模したと思われる神視点から作品の魅力が語られていくのも面白かったですね。

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