東野圭吾「真夏の方程式」あらすじ・感想!一人の人生を揺るがす事件の真相とは

小説

東野圭吾さんの「真夏の方程式」は、ガリレオシリーズ第6作目です。
長編としては第3作目になります。

週刊文春で2010年1月14日号から11月25日号まで連載したものを2011年6月に単行本で刊行し、2013年には映画化され大ヒットしました。

今回も原作小説のあらすじをネタバレ無しでご紹介します。

 

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あらすじ

美しい海を持つ玻璃ヶ浦(はりがうら)。
この町では、周辺の海域で発見された海底熱水鉱床の開発が計画されており、説明会及び討論会が町の公民館で行われていました。
地元住民の1人として参加している川畑成実(かわはた・なるみ)。
中学3年の時に東京からこの町に越してきた彼女は、玻璃ヶ浦の海を紹介するサイト「マイ・クリスタル・シー」を運営していました。
地元出身の環境保護活動家、沢村元也と玻璃ヶ浦の海に対する思いを開発側にぶつけます。

4時半が過ぎた頃、この日の説明会が終り、帰宅した成実を出迎えたのは、従弟の柄崎恭平。
成美より20歳近く年下の小学5年生です。
恭平の両親が仕事で大阪に行っている間、成実の家で預かることになりました。

成実の家は膝を壊している父の重治と母の節子2人で緑岩荘(ろくがんそう)という旅館を営んでいますが、観光産業が低迷し続けているこの町で、経営が苦しいのは緑岩荘も例外ではありません。
今夜の宿泊客はわずか2名。
2人共この日の説明会に来ていた男性でした。

1人のお客は、会場で成実と不意に目が合ったとき、微笑みながら軽く会釈してきたことを成美は覚えていました。
宿泊名簿には、塚原正次と名前が記載されていましたが、やはりその人物に見覚えがありません。
年齢が61歳で住所は埼玉県。
地元でない人間がどんな理由であの説明会に参加していたのか、成実は首をかしげます。

もう1人のお客は、開発側からの依頼で電磁探査の説明をするため、公民館に来ていた物理学者の湯川学。
「緑岩荘」のことは、この町へ向かう途中で知りあった恭平から教えてもらいました。

20時頃、湯川は成実の母・節子に近くの居酒屋まで案内してもらうため「緑岩荘」を後にします。
その1時間ほど前に、沢村ら環境保護団体の仲間達と勉強会を行うため出掛けていた成実が21時少し前に湯川と節子のいる居酒屋に仲間達とやって来ました。
節子が沢村の車で「緑岩相」まで送ってもらうことになり、その間、海底資源開発の意見を交わしていた成実と湯川。

しばらくして戻ってきた沢村から「緑岩荘」で客の塚原がいなくなった、と知らされます。
それは20時頃、甥の恭平と旅館の裏庭で花火を楽しんでいた重治が、21時前になっても塚原の姿が見えないことに気づき、帰ってきた節子と沢村の車で付近を探しますが、見つからなかったということでした。

迎えた翌朝。
結局戻ってこなかったお客を心配した重治が警察に通報します。
すると、先ほど近くの海岸で発見された変死体が「緑岩荘」のお客かもしれないので調べさせてほしい、と成実の同級生で玻璃警察署の西口剛刑事が宿にやって来ます。

重治は西口に見せられた遺体写真を確認。
写っていたのは昨晩行方不明になったお客の塚原でした。
西口がお客の荷物を確認すると、被害者となった人物は昨年の春に定年退職した元刑事の塚原正次だったことがわかります。
さらに塚原は、警視庁捜査一課に所属していた頃、現在管理官をしている多々良の先輩でもありました。

医者の診断結果によると塚原の死因は脳挫傷と判明。
堤防から誤って落ちた可能性が高いというのが地元警察の見方でした。
しかし単なる転落死ではないと気づいた多々良は、玻璃警察署から遺体を引き取り、東京で解剖の手続きに入ります。
他殺を疑う多々良は、地元警察から捜査協力を要請される前から動いていきます。

捜査にあたらせたのは警視庁捜査一課の刑事、草薙俊平。
草薙は塚原と同じ「緑岩相」に宿泊している湯川の友人でもありました。
さっそく湯川に協力を頼むなど捜査に乗り出した草薙は、塚原が説明会に参加する直前、東玻璃町にある別荘地で白い家を眺めていたという情報を得ます。
その白い家は、16年前に東京で殺人事件を起こして塚原に逮捕された仙波英俊が、元住んでいた家でした。

仙波は愛知県から上京して30歳で結婚。
相手の女性は東玻璃の出身で、いつか故郷の海を眺められる家に住みたいと言っていました。
その妻の夢を叶えるため、46歳の時、東玻璃町に白い家を購入した仙波でしたが、その後、経営していた会社が倒産し、妻を病気で亡くしてしまいます。

蓄えのほどんどを妻の治療費で消えた仙波は、再び東京に行き仕事に就きますが、杉並区荻窪の路上で元ホステスだった三宅伸子と、金を貸した貸さないの口論となり、ついにはその女を殺してしまいました。
現在は懲役8年の刑期を終え、どこかで暮らしているはずです。
なぜ塚原は、かつて自分が逮捕した殺人犯の元住んでいた家を見に行ったのか。

疑問が残る中、塚原の解剖結果が出ました。
それによると、死因は一酸化炭素中毒と判明。
さらに睡眠導入剤も検出されたことで、何者かが眠らせた塚原を中毒死させた後、死体を堤防まで運び、そこから落としたのではないかと推測されました。
警視庁から知らせを受けた県警本部は鑑識班を「緑岩荘」に送り、くまなく館内を調べますが、COガスの発生源は特定できませんでした。

玻璃警察署と県警本部は、逆恨みした仙波英俊が復讐した可能性も視野に入れ、仙波の居所を捜します。
多々良からの指示を受けた草薙も後輩の女刑事・内海薫を連れて、仙波の捜索にあたりますが、一向に行方が掴めません。

その頃湯川は、船酔いで玻璃ヶ浦の海底の水晶を見に行けないという恭平のために、物理の実験でその美しい海の底を見せることに成功していました。
すっかり恭平と仲良くなっていた湯川は「緑岩荘」のマスターキーを恭平に盗ませると「この建物は非常に興味深い構造をしている」と言い、塚原が使用した部屋とは別の部屋に忍び込みます。
この時、川畑一家が以前、東京に住んでいたことを恭平から聞いた湯川。室内を見回し、押入れの中を調べ終えると、その表情は厳しいもに変わっていました。

一方、草薙と薫は仙波の行方を追う中で、生前の塚原が仙波を捜していたという証言を得ます。
仙波が殺人事件を起こし、塚原が捕まえたのが16年前。
当時の資料を見ても、容疑を認めた仙波の自供内容にも矛盾はありません。
では塚原が仙波を捜す目的は何だったのか。
捜査方針を考える草薙と薫のもとに湯川から連絡が入ります。

「緑岩荘の経営者、川畑重治とその家族を調べてほしい」と。

さらに「川畑一家が事件に関わっていることは、県警には秘密にしてもらいたい。県警の雑なやり方で強引に真実が暴かれたりしたら、取り返しのつかないことになるおそれがある」と、付け加えていました。
どういう意味なのか、説明を求める草薙に対し「人生がだ」と、湯川。
そして神妙な顔つきで言葉を続けました。

「今回の事件の決着を誤れば、ある人物の人生が大きくねじ曲げられてしまうおそれがある。そんなことは、何としてでも避けねばならない」と。

その後、仙波の捜索も兼ねて仙波に殺されたとされる元ホステスの三宅伸子について調べはじめる草薙と薫。
塚原はなぜ宿泊先に「緑岩荘」を選んだのか。
あの夜に何があったのか。
事件を解く鍵は、仙波を逮捕することで終わった16年前の事件に隠されていました。

感想

何気ない会話の中に隠された伏線。
注意しながら読み進めましたが、ラストに明かされるつらい真実に衝撃を受けました。
一方、湯川が少年に語る思いやりの深い言葉は感動的です。
シリーズ当初から子供を苦手としていましたが、克服されたのでしょうか。
理科嫌いな少年と距離を縮めていく湯川の姿が印象的でした。

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