東野圭吾「ラプラスの魔女」あらすじ・感想!不可能犯罪を成立させた悪魔の能力とは

小説

東野圭吾さん原作の「ラプラスの魔女」が映画化されます。
人為的には不可能に見える出来事を可能にするSFミステリです。

公開日は5月4日。今週の金曜日です。
主役の青江修介を務めるのはアイドルグループ「嵐」のメンバー櫻井翔さん。
櫻井さん以外にも広瀬すずさん、福士蒼汰さんと魅力的な俳優陣が出演します。

今回は映画が公開される前に原作小説のあらすじを紹介します。

 

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あらすじ

一足早く冬の到来を感じる11月の北海道。

10歳の羽原円華(うはら・まどか)は自身の通う小学校の創立記念日を利用して、旭川にある祖父母の家に来ていました。

脳神経外科医の父、全太郎(ぜんたろう)は大事な手術を控えており来れません。それでも楽しい旅行になるはずでしたが、突然発生した竜巻に、円華の目の前で母の美奈(みな)が巻き込まれてしまいます。

瓦礫の下から見つかった母でしたが、泣きながら呼び続ける円華の声もむなしく、帰らぬ人となってしまいました。

それから8年ほど経ったある日、武尾徹(たけお・とおる)という元警察官の男に仕事の依頼が来ます。
内容は「ある人物の警護をしてほしい」というもの。
但し「警護する人物に興味を持ってはいけない」「質問は絶対にしてはいけない」という決め事がありました。

依頼主は桐宮玲(きりみや・れい)という女性で、武尾が以前勤めていた警備会社でも仕事を請け負ったことがある相手でした。
武尾に直接依頼が来たのは、頼まれた仕事以外には関心を持たず、余計なことを知ろうとしなかった武尾の性格が評価されてのことでした。

後日武尾は、「数理学研究所」という建物に連れてこられました。
セキュリティゲートを通り、部屋に案内されると、護衛対象者とされる人物が来るのを待ちます。

現れたのは「羽原円華」でした。
18歳になっていた円華はこの「数理学研究所」の中に住んでいました。
彼女は何者か?なぜここにいるのか?ここで何をしているのか?それすら訊くことは許されません。

武尾は翌日から、ボディーガードとして円華の外出時には身辺に付き添いますが、彼女の周辺ではたびたび不可解な出来事が起きました。
2~3 例を挙げると、

「円華が風船を手から離すと彼女の意図した所に正確に飛んでいった」

「川に落とした帽子を拾おうとすると、彼女の立ち止まった所に引き寄せられるように流れ着いた」

「降り続ける雨の中、彼女は自分が外に出るわずかな時間だけ雨が止むことを知っていた」

これらの出来事は単なる偶然だったのだろうか。
円華の謎めいた魅力は、武尾でさえ知りたいという気持ちにさせられます。

そんな中、D県の山中にある赤熊温泉で死亡事故が発生します。

被害者は映像プロデューサー水城義郎(みずき・よしろう)。
妻の千佐都(ちさと)と赤熊温泉を訪れ、散歩に出かけた時でした。
千佐都が忘れ物を取りに宿に戻っている間、山中に一人残された義郎が硫化水素を含む火山ガスの吸入で中毒死してしまったのです。

資産家で60代半ばの水城に対して妻の千佐都はまだ20代。
財産目当てで水城が殺されるのではないかと心配されるなか起きた事故でした。

新聞でその記事を読んだ円華は、何故か一人で外出させてほしいと言いだします。
桐宮は当然そんな要求は受け付けませんが、円華もあきらめません。
数週間後、桐宮と武尾を騙して逃げ出すことに成功します。

その頃、事故のあった現地周辺では、原因究明の依頼を受けた地球化学者の青江修介(あおえ・しゅうすけ)が県の職員と共に調査を行っていました。
収集したデータでは、事故が起きた頃の天候は安定していたことがわかっています。

硫化水素の濃度が危険レベルに達することは多くても年に数回程度。しかも一瞬。
事故のあった日のその瞬間、その場に偶然人がいた確率はゼロに近いということ。

では人為的に起こされた可能性は。
気象条件が不安定な屋外で硫化水素を使った殺人を成功させるのは、現実的には不可能というのが青江の見解でした。

詰まる所、常識を越えた不幸な事故だったと。
その推論に基づいて対策が立てられますが、2ヵ月ほどするとL県の苫手(とまて)温泉でも硫化水素中毒による死亡事故が起きてしまいます。

今度の被害者は役者の那須野五郎(なすの・ごろう)。
青江には事故原因の取材をしている地方紙から協力依頼が来ます。
調査の結果、またしても偶発的な不幸な事故と判断せざる得ませんでした。

但し、D県とL県で起きた2つの事故現場は共に温泉地。
2人の被害者は硫化水素ガスで亡くなり、同じ映像業界の人間だったこと。
本当に事件性はないのか。

青江が自身の見解に疑いを持ちはじめた頃、この苫手温泉地で見覚えのある若い女性を見かけます。
彼女は赤熊温泉で立ち入り禁止エリアに侵入しているところを青江に目撃され、注意を受けていた女性でした。

現地の人の話では、その女性は写真を見せながら友人の男性を捜していたとのこと。
事故が起きる前日には、その男性を事故現場付近で見たという証言もありました。
その不審な男性を捜す女性が、赤熊温泉と同様の事故が起きたこの苫手温泉にもなぜいるのか。

青江が声をかけます。

彼女は羽原円華。
ここでも友人の男性を捜していると言います。
ではどうして事故の起きた2つの温泉地でその男性を捜すのか。
青江は詳しい事情を訊き出すことは出来ませんでした。

調査を依頼された2つの出来事を事故として結論付けたことが本当によかったのか。
円華との出会いで頭にもたげていた不安がいっそう大きくなった青江は、ネットを使い独自に調査を進めます。

まずは被害者2人の繋がり。
水城義郎は映像プロデューサーで、那須野五郎は役者。
水城がプロデュースした映画に那須野は出演したことはありませんでした。
しかし以前、2人が携わった別々の映画には甘粕才生(あまかす・さいせい)監督が務めているものがありました。

甘粕はここ10年ほど公の場に姿を現していませんが、数々の映画賞を受賞した優秀な映画監督です。
2人は甘粕を通して繋がっていたのか。
何かあると睨んだ青江は、6年以上更新が途絶えている甘粕のブログを見つけます。

そこには驚愕の内容と円華が捜す謎の青年の正体、円華の父、全太郎のことまでが記載されていました。

頭を悩ます青江は中岡祐二(なかおか・ゆうじ)という刑事に相談します。
中岡は赤熊温泉の事故のとき、当初から妻の千佐都による殺人と疑い青江と論じ合った刑事です。

青江は円華との出会いを含めこれまでの経緯を話し、ブログの記事を中岡に手渡します。
記事を読んだ中岡は他殺を確信し捜査を強化していきますが、突然この件から手を引けと警察上層部から圧力がかかります。

一連の出来事の背後には、いったい何があるのか。
このまま黙って引き下がるわけにはいかず、中岡は命令を無視して捜査を続けます。

一方、青江は再び円華とのコンタクトに成功し、円華の指定する時間と場所に向かいます。するとそこで、信じがたい自然現象を目の当たりにします。
理論的には可能だが、現実的には不可能というしかありませんでした。
だが現実に起きている。

答えを求める青江に「あとは自分で考えて」とだけ言い残し姿を消しました。
さらに好奇心を刺激された青江は「不可能犯罪を成立させた悪魔の能力」の実態に迫っていきます。

感想

円華の人知を超えた能力の正体は何なのか。どのようにして手に入れたのか、青江や武尾のように好奇心が刺激され楽しめました。
賛否両論あるみたいですが、ミステリに科学の要素を取り入れたアイデアは東野さんらしくさすがだと思います。
映画版「ラプラスの魔女」にも期待です。

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