湊かなえ「告白」完成度抜群のデビュー作!あらすじ感想

小説

湊かなえさんのデビュー作となった「告白」。
正確には、短編デビューとなった「聖職者」が2007年に第29回小説推理新人賞を受賞しています。

その「聖職者」を第1章とし、第6章まで書き加え、長編として完成させたのが、「告白」です。

2008年に単行本として発売されると、週刊文春ミステリーベスト10で1位、2009年に本屋大賞を受賞しています。

 

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あらすじ

 

第1章「聖職者」

森口悠子(もりぐち・ゆうこ)の復讐劇は衝撃的な告白から始まります。

S中学校の3学期終業式の日。
最後のホームルームで、1年B組の担任を務める森口は今月で教員を辞職すると生徒たちに告げます。

生徒たちからは、残念そうな声が上がりました。
そして悠子は、なぜ教師を目指したのか、なぜ未婚の母となったのか、教師と生徒の信頼関係などについて話し始めました。

ただ、それはあくまでも復讐劇の序章に過ぎません。
話は教師を辞める原因となった事件の話へと移っていきます。

シングルマザーの悠子は、4歳になる娘の愛美(まなみ)を保育所に預けていましたが、時間制限が6時まででした。
職員会議のある水曜日だけは遅くなってしまうため、早めに迎えに行き、会議が終わるまで子供を学校の保健室で待たせていました。

そして今年の2月。
学校のプールで死んでいる愛美が発見されました。
警察は事故と断定。
悠子は自分の監督不行届だった反省の弁を述べ、みんなに迷惑をかけたことを謝罪しました。

しかし、そのことが原因で教師を辞職するわけではありませんでした。
ではなぜ辞職するのか。
「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒2人に殺されたから」と、悠子は言います。

実は先週、悠子は遺品の中から愛美の物ではないポシェットを見つけていました。本当にあの日、愛美はプールで一人だったのか。
疑いを持った悠子は、愛美の死の真相を探り、2人の犯人を見つけたのでした。

あえて2人の名前を伏せて、彼らをA、Bと呼び、2人の入学当初からの言動や行動、娘を殺した経緯までを淡々とした口調で語っていきます。
そこまで話せば自ずと犯人の正体に気づく生徒も出てきます。

彼らは14歳未満であることから、刑事責任を問われることはなく裁かれることはありません。
それならばと、娘の仇を討つべく、自らの手でAとBに恐怖の裁きを下したことを告白しました。

それはまさに衝撃的な復讐でした。
悠子は2人にこれから忍び寄る死の影に怯えながら、反省をし謝罪してくれることを望んでいると伝え、最後のホームルームを終えました。

第2章「殉教者」

新学期が始まり、1年生はクラス替えはなく、B組の生徒はそのまま2年生に進級しました。
クラスの雰囲気は1年生の頃とは一変して、異様な空気に包まれています。
Bは風邪で欠席しましたが、平然と登校して来たAに他の生徒たちは驚きました。

担任の先生は新しく赴任された寺田良輝(てらだ・よしき)という若い教師に変わりました。
自分のことを「ウェルテル」とあだ名で呼ばせるなど、熱血型の教師です。

それから5月半ば。

Aはみんなから避けられていました。Bはいまだ不登校のままです。
なぜBが学校に来なくなったのか、このクラスで知らないのは、ウェルテルだけでした。

それは悠子が事件の真相を話し、解散した直後のことでした。
「B組内での告白を外にもらしたヤツは少年Cとみなす」
みんなの携帯にこのメールが届いたことで、誰もB組以外の人に話せなくなりました。

そして迎えた6月。
Aへのイジメが始まったのは、この頃からでした。

第3章「慈愛者」

2年生に進級して以来、ずっと部屋に引きこもったBは、母親を刺殺してしまいます。父親から知らせを受けたBの姉は、大学から帰省してきました。

なぜこんなことが起きてしまったのか。
その時、父親は何をしていたのか。

姉は母親が亡くなる前日まで書いていた日記を見つけます。
そこには、母親と壊れ行く弟との壮絶な戦いの記録が綴られていました。

 

第4章「求道者」

警察の取り調べもままならない精神状態に陥ったB。
上下四方を白一色で覆われた個室に収容され、幻覚を見るようになっていました。
その幻覚は悠子の娘、Bの母親を殺した一連の出来事をエンドレスで白い壁に映し出すものでした。

 

第5章「信奉者」

自分の命も他人の命も軽んじるA。
明日行われる2学期の始業式で自殺するつもりのAは、体育館に集まった全校生徒もろとも木っ端みじんにするつもりです。

Aは自分のサイトに爆破予告と遺書を載せました。
そこには、幼い時から電子工学出身の母親に教育を受け発明品作りに没頭していたことや、校内で担任の子供を殺害するに至った経緯までが詳細に綴られていまいした。

そして迎えた当日、爆弾のスイッチを押します。
ところが、何も起きません。
サイトを見た誰かが解除した様子もなければ、警察も来ていません。

困惑するA。
彼のケータイが鳴り出したのはその時でした。

 

第6章「伝道者」

大量殺人を企てたAの犯行を食い止め、Aのケータイに電話を掛けてきたのは、森口悠子でした。

皮肉を込めながらこれまでの経緯をAに話す悠子。
Bの復讐は成功したと言えても、Aに対しては失敗したと言わざるを得ませんでした。

自分の死さえ恐れないAに復讐するにはどうしたらいいか。
Aの弱点を探し見つけました。
そして悠子は行動に移し、悠子の凄まじい復讐劇は幕を閉じます。

感想

新人賞を受賞したデビュー短編「聖職者」で、無情な処罰を生徒に突き付ける主人公の復讐心にも圧倒されますが、この物語を様々な視点から解き明かす連作長編に仕上げた技術もさずがでした。

現在の輝かしい活躍を見ると、「告白」の大ヒットがまぐれではないことをしっかりと証明していると思います。

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