村田沙耶香「コンビニ人間」芥川賞受賞作!あらすじ・感想

小説

村田沙耶香さんは、2003年「授乳」で 作家デビューして、2016年に「コンビニ人間」で第155回芥川賞を受賞しています。

何が良くて何が悪いのか、世間の常識がわからない主人公が、自分の才能を生かせるコンビニのバイトで世間から排除されまいとする「コンビ人間」。

今回もネタバレを避けてあらすじを紹介します。

 

スポンサーリンク

あらすじ

古倉恵子(ふるくら・けいこ)は少し変わった性格の持ち主でした。

彼女がまだ小さい頃、外で死んでいる小鳥を見つけると、他の子供たちが泣いているにもかかわらず、持って帰って食べようとしたことがありました。

小学生の頃には、喧嘩を始めた男子を「誰か止めて!」という声に反応し、スコップで男子の頭部を殴りつけました。
悲鳴に包まれる中、その男の子は転倒して動かなくなってしまいました。

さらには、女性教師が教卓を叩きながら怒鳴り散らし、謝る生徒たちから「やめて、先生!」という声を聞いた恵子が、女性教師のスカートとパンツをずり下し、静かにさせた時もありました。

恵子は、「やめて」と言われたからやっただけで、なぜいけないことなのか、わかっていません。

そんな感情が希薄な恵子でも、両親が学校から注意を受け、謝ったり悲しむのは不本意と感じるらしく、それからは皆の真似をするか、誰かの指示に従って動くかのどちらかにして、自分の考えでは動かないようにします。

そして、中学生、高校生と成長していった恵子。
大学に進学すると、実家を出てコンビニエンス・ストアでアルバイトを始めました。

自分の判断で動くのが苦手な恵子にとって、マニュアルに従って動くコンビニの仕事はまさにうってつけの仕事でした。
店員でいる時は世界の歯車になり、自分を正常な人間にしてくれていると感じることもできました。

しかし、そんな恵子も36歳になるまでアルバイトを続けていると、周囲から心配する声も出てきます。
この年齢で結婚も就職もしていないことが、おかしなことだと妹から教えられました。

完璧なマニュアルがあるコンビニなら「店員」になれる恵子でしたが、マニュアルの外ではどうすれば普通の人間になれるのかわかりません。
友人やアルバイト先から、なぜ就職しないか訊かれたときは、うっとうしいので「身体が悪いから」もしくは「病気がちの母の介護で」と、嘘の一言で済ませていました。

恵子の感情の欠落は相変わらずで、妹の子供でさえも、友達の子供と同じ野良猫のようなものと思い、「赤ん坊」という同種の動物としか見ていません。
さらに、同僚から「怒ったところを見たことがない」と、指摘されされた時には、周りに同調して怒ったふりをするなど、感情のある人間を演じていました。

態度の悪い新人の白羽(しらは)に職業差別を受けた時もありましたが、そんな時も怒りは沸いてきません。
どうしてここで働き始めたのか、疑問を投げかけたくらいです。

すると白羽は、男女の出会いが目的と平然と言い放ち、女性客に対しても物色するような目で見ていました。
案の定、白羽は客にストーカーまがいのことをして解雇されます。

首になったあとも、女性客を待ち伏せしている白羽。
恵子は白羽を捕まえました。
注意を受けた白羽は、現代も縄文時代と変わらないと言います。

「ムラに必要のない人間は迫害され、敬遠される。だから結婚して誰にも文句を言われない人間になりたい」と。

恵子はコンビニと同じ構造だと思いました。
コンビニに必要のない人間はシフトを減らわれ、首になる。
コンビニに居続けるには「店員」になるしかない。

制服を着てマニュアル通りに振る舞い、普通の人間という架空の生き物を演じること。
正常な世界では、まっとうでない人間は処理されていく。
だから治らなくてはならないという自覚が恵子にはありました。

白羽は「男なら稼げ、結婚しろ」と、他人にこれ以上干渉されるのがうんざりなので、恵子に自分を隠してほしいと頼みます。
恵子も男女が同じ部屋にいるというだけで、皆が勘違いして干渉してこなくなるから白羽が家にいると都合がいいと考えます。

白羽と利害が一致した恵子は、白羽をペットを飼う感覚で部屋に住まわせることにしました。

姉の行く末を心配していた恵子の妹は、ようやく姉にも春が来たと勘違いして喜こんでいましたが、姉が同居を始めた本当の理由を聞かされると、泣き始めてしまいます。

妹の泣き顔を見ながら、プリンを味わう恵子に、まっとうな人間になれる日は、来るのでしょうか。

感想

作者の村田さんは、主人公と同じく大学時代からコンビニ勤務の経験があるらしく、芥川賞を受賞した当時もアルバイトをしていたそうで、物語の面白さと共に、コンビニバイトのノウハウや裏側がきめ細かく描かれていました。

主人公の古倉恵子は少し怖い人だなと思わせる心情やセリフが描かれていますが、モデルになったのは、もしや村田さんご自身なのでは、と思ってしまいました。でも全然違うそうです。

小説
スポンサーリンク
新しい瞬間